演劇映像『ファウスト』第二幕 窓より
崎田ゆかり
俳優。1988年金沢生まれ。京都市在住。2015年ゲッコーパレードを旗揚げ、以降ほぼ全ての作品に出演している。2021年に、俳優とは、劇場とは何かを探究する「劇場シリーズ」を立ち上げる。CoRich舞台芸術まつり!2023春にて、同シリーズの第二作『少女仮面』がファイナリストに選ばれ、演技賞を受賞。
主な外部出演作として、烏丸ストロークロック 柳沼昭徳 作・演出『新・内山』『祝・祝日』『但東さいさい』、M.M.S.T SUMMER ART PROGRAM 2014 金世一 演出『秋雨』、第七劇場 鳴海康平 構成・演出『班女』などがある。
私が演劇を通してやりたいと思っていることはこんなことです。
まず俳優として。
私は何者なのかを考え続けること。
私にとって演じるということは、未知の自分と出会うことであり、他者や世界と繋がることだと思っています。芯の部分を持ち続けながら、既成概念にとらわれずに自由に柔軟に舞台に立っていたい、そして世界に存在していたい。
それから、観客と一緒に新しい世界を見ること。
どうしようもなく現実を引きずった私の身体を通して、虚構の世界を立ち上げることで、その時その瞬間に生成される劇の時間に浸る。それはバラバラな私たちが集中した劇世界で繋がりうる、とてもスリリングな時間だと思いますし、それがわざわざひとところに集まらなくてはいけない演劇の一番の魅力といってもいいのではないかと思っています。
究極的な問いとして、俳優の身一つでどこまでできるか、ということを常に考えています。
劇の時間を携えて、時間や空間やことばや、そのほか私たちの間にひかれている様々な境目を越えていきたい。
そして活動する者として。
まず根底に、私には何か新しいものを生み出すことへの強い執着があります。そして自分が何者なのか、世界に向かって何をやっているのかということを認知してほしいという欲求があります。
一つは、俳優として舞台上で自身の独自性を探り、表現することがそれに繋がっています。
そしてもう一つ、それを大きなスケールで考えると、他者と一緒に探求し、創造したいという思いがあります。私の中にあることばにできない、直感的で抽象的なイメージを、時間をかけて俳優や演出家たちと共有し、自分でも他人でもない、得体の知れない塊のような、そんな集団を作りたい。その人たちと、馬鹿みたいだけど、演劇というものの根幹に触れるような、でっかいエネルギッシュな強度のある作品を生み出していきたいと思っています。